藏重商店の思い
フルーツ文化創造企業を目指して
代表取締役 藏重 満
創業65年のうち私の経験は35年です。東京で5年間のサラリーマン時代を経験し、この業界に飛び込みました。
まずは先代の父の時代30年間に携わった方々に感謝します。特に創業から10年は、現在の時計台裏に会社と住まいがありました。
祖父の軍一は山口県岩国市の出身。アメリカでジャガイモ農園を経営するためアイダホ州に渡り、そこで父が生まれ、父は3歳までアイダホで過ごしています。
その後、両親の故郷の岩国に戻り、ジャガイモやタマネギを扱っていましたが、その後一家で新天地を求め、身寄りもない北海道に渡ってきました。
創業当初、藏重勤は、平岸に広がっていたりんご農園にトラックを走らせて仕入れをし、卸売業を始めました。これが藏重商店の始まりでした。「北一」の名前は北海道で一番になる、という思いが込められています。
1999年に社長となりました。現在、取り扱っている青果物の種類は800種類くらいです。
北海道という地方の仲卸として、地元のスーパーさん、小売店さんを大事にすることをモットーとしています。品質でいえば中より上のクラスを主に扱っています。多品種小ロットで、品質を落とさず、品物を見極めるようにしています。
見極めるだけでは市場で待っているばかりになりますので、自ら産地に出向き、卸の皆さんと一緒に、よい商品を見つけていかなくてはいけない、そういう時代になってきたと思います。最近では一般的になってきた「フルーツトマト」も、弊社がいち早く仕入れ、北海道に紹介した一例です。
かつてはいろいろな地区に、こだわりのある果物屋さんや八百屋さんがあったものですが、最近は少なくなりました。その代わり、レストランのシェフのみなさんがよい食材を求めて訪れて来るようにもなりました。
ただモノを動かすだけでは、これからの時代生き残りは難しいと思っています。「いいモノを動かす力」を大事にしたいと思います。これからはソフト開発、売る方法も提案できるような仕事の仕方が大切かと思います。小さいながらも特色を持って行けるような、「フルーツ文化創造企業」を目指したいと思っています。
「せり」はインスピレーション
営業部部長 大橋 顕
アルバイトを経て平成5年に正式に入社しました。20年間リンゴを専門に扱ってきましたが、その後トマトの担当となりました。
トマトは産地が広いのですが、当社では熊本や長崎の物を中心に扱っています。生産者にも会いに行きますが、地域によって考え方も違います。人と人とのつながりが、この仕事を続けるのにとても重要になっています。産地の情報、大消費地である首都圏の動向など、自分が情報を入手するチャンネルを増やすのも大事だと思います。
品物の価値は、市場に出してみるとよくわかります。よいものは高い値段がつき、よくないものは低い。単純ですがそれが市場のもつ機能とも言えます。
「せり」には毎日のように参加しますが、せりの場で私に取って大事なのは「インスピレーション」です。データをきちんと残して分析する人もいますが、私は感覚やその場の雰囲気をより大事にしています。
「だいたい今日はいくらで落ちそうだ」という予想を持ってせりに臨みます。わかりにくいかもしれませんが、自分はいくらで買いたいという「自分の腹を持つ」ことが大事です。それがその日の市場の、せり場の雰囲気でだんだんとわかってくる、それが「インスピレーション」なんですね。